こんにちは、アサヒナです。
先日、ある調査結果を読んで、少し考え込んでしまいました。
日経新聞が報じた、AIに関する国際調査です。
「AIによる失業を恐れていない日本人」
そんな見出しでした。
アメリカでは、71%の人がAIによる失業を心配している。
一方、日本はどうか。
AIを脅威と感じない人が、44.3%。
脅威と感じる人の24.3%を、大きく上回っています。
先進国の中では、異例の数字だそうです。
この記事を読んだとき、多くの人はこう思うかもしれません。
「日本人は、楽観的で心が強いんだな」と。
でも今日は、その解釈は違う、という話をしたいと思います。
恐れていないのではなく、まだ知らないだけ
結論から言います。
日本人がAIを脅威と感じていないのは、心が強いからでも、楽観的だからでもありません。
単純に、まだAIを知らないからです。
恐怖というのは、対象を知らないと湧いてきません。
暗闇が怖いのは、そこに何があるか見えないからじゃない。
何があるか、まだ確かめていないからです。
AIも同じです。
触っていないから、それが何を奪い、何を残すのかが見えていない。
だから、脅威の実感が湧かない。
これは、心の強さとは何の関係もありません。
数字が、無関心の正体を語っている
僕の見立てを、データが裏づけています。
個人のAI利用率を見てください。
中国が81.2%。
アメリカが68.8%。
ドイツが59.2%。
そして日本は、わずか26.7%です。
4人に1人しか、AIを使っていない計算になります。
企業の導入率も同じ傾向です。
アメリカや中国、ドイツでは、80から90%の企業が生成AIを業務に取り入れている。
日本は、55.2%に留まっています。
この差は、そのまま認識の差になります。
海外の人がAIを恐れているのは、悲観的だからじゃない。
毎日使っていて、その威力を肌で知っているからです。
日本人が恐れていないのは、強いからじゃない。
まだ、触れていないからです。
楽観の顔をした無関心。
それが、この44.3%の正体だと僕は思っています。
「使っている」の中身が、まるで違う
ここで、ひとつ確認させてください。
「AIを使っている」という言葉ほど、あてにならないものはありません。
僕は日々、中小企業のAI導入を支援しています。
その現場で、いつも痛感することがあります。
たとえば、ある製造業の社長は、胸を張ってこう言いました。
「うちはAI、結構使ってますよ」
ところが、実際に何をしているか聞いてみると。
たまに、メールの文面をChatGPTに整えてもらう。
わからない言葉を、検索の代わりに聞いてみる。
やっていたのは、その程度でした。
月に数回、思い出したときに開く。
それで「結構使っている」という感覚でいたんです。
本人に悪気はありません。
むしろ、周りの経営者よりは進んでいる、という自負すらありました。
でも、それはGoogle検索の延長でしかない。
AIを、便利な調べ物ツールとしてしか見ていないんです。
一方で、同じ業界の、別の経営者はまるで違いました。
その人は、朝いちばんにAIを開くところから一日が始まります。
新しい企画を考えるとき、まずAIを壁打ち相手にする。
自分の考えをぶつけて、反論させて、抜けている視点を洗い出す。
見積書やマニュアルのたたき台は、AIに一気に書かせて、自分は仕上げだけをする。
さらに驚いたのは、その先です。
これまで制作会社に頼んでいた自社サイトの修正を、AIにコードを書かせて、自分でやるようになっていました。
社内で使う簡単な業務ツールまで、AIと相談しながら組み立てている。
つまり、外に出していた仕事を、次々と自分の手に取り戻していたんです。
同じ「使っている」という言葉。
でも、この二人の間には、天と地ほどの差があります。
前者にとって、AIは「たまに使う便利な道具」です。
後者にとって、AIは「毎日となりで働く、もう一人の自分」になっている。
この違いは、数ヶ月後、一年後に、とてつもない差になって表れます。
使い込んだ人だけが、可能性と脅威を同時に知る
なぜ、この差がそれほど大切なのか。
前者のレベルなら、脅威は感じません。
検索の延長でしかないので、当然です。
「便利になったな」で終わってしまう。
でも、後者のレベルまで使い込んだ人は、違います。
AIの可能性を、まざまざと知る。
そして同時に、脅威も知るんです。
なぜなら、あまりに多くのことができてしまうから。
自分の仕事の、どこが置き換わるのか。
どこは人間にしか残せないのか。
それが、頭ではなく体感として見えてくる。
だから、可能性に興奮しながら、同じ強さで危機感も持つ。
この「わくわくと、ひやり」を同時に味わえるかどうかが、分かれ目なんです。
先日、別の記事でこんな話を読みました。
AIを毎日使っている10代の若者たちが、進路を選ぶとき、はっきりと「AIに置き換わらない仕事」を選んでいる、と。
彼らは、理屈でそうしているわけじゃありません。
毎日触れているから、肌で分かるんです。
AIが何を奪い、何を残すのか。
使っていない人は、まだ気づいていない。
使い込んだ人は、もう動き始めている。
導入率の差は、そのまま「気づきの差」になっているんです。
AIは、強い人をもっと強くする道具
もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。
AIは、みんなを平等に底上げしてくれる道具ではありません。
むしろ、逆です。
強い人を、もっと強くする道具なんです。
考えてみてください。
AIが出してきた答えが、良いのか悪いのか。
それを見抜くには、使う側に知識と経験が要ります。
経験の浅い人は、AIの答えをそのまま受け取るしかありません。
だから、そこそこのものが、そこそこのまま出てくる。
一方で、実力のある人は、AIの答えを土台にして、そこからさらに引き上げられる。
「ここが弱い」「この角度が抜けている」と、的確に直せるからです。
同じAIを使っても、出てくるもののレベルが違ってくる。
つまり、もともと力のある人ほど、AIによって何倍にも伸びていく。
力のない人との差は、開く一方になります。
これは、こわい話に聞こえるかもしれません。
でも、裏を返せば、こういうことです。
今から使い手側に回れば、あなたも「強くなる側」に乗れる。
出遅れている今の日本は、まだ席が空いています。
早く動いた人が、その席に座れるんです。
「自分は大丈夫」の中に、逃げ道が隠れている
ここまで読んで、心の中でこう思った人もいるかもしれません。
だから、その先回りをさせてください。
まず、「まだ大丈夫だろう」という声。
これは、一番よく聞く言い訳です。
でも、思い出してほしいんです。
さっきの数字を。
海外では、すでに8割前後の企業がAIを業務に組み込んでいます。
「まだ」と言っているのは、世界の中で日本だけかもしれない。
その「まだ」が、そのまま出遅れの正体になっています。
次に、「うちの仕事には関係ない」という声。
これも、よく出てきます。
自分の業種は特殊だから、AIには置き換えられない、と。
でも、AIに任せられるのは、業種そのものではありません。
その仕事の中にある、細かい作業の一つひとつです。
文章を書く。
数字をまとめる。
資料を整える。
問い合わせに答える。
調べて、比べて、たたき台を作る。
どんな仕事にも、こういう作業は必ず混じっています。
そこが、静かに置き換わっていく。
「うちには関係ない」と思っている人ほど、実は関係の真ん中にいます。
三つめは、「必要になったら、そのとき覚えればいい」という声。
気持ちは、痛いほどわかります。
でも、これが一番あぶない。
必要になってから始めた人は、すでに使いこなしている人に、追いつけません。
相手はその間も、毎日使って差を広げているからです。
スタートが遅れるほど、追いつくための坂は急になります。
最後に、「もう歳だし、今さら」という声。
これだけは、はっきり否定させてください。
僕は、80代でAIを学び始めた人の話を知っています。
年齢は、理由になりません。
やらない理由を探すのは、いつだって簡単です。
でも、その言い訳のひとつひとつが、44.3%の側に自分を縛りつけているんです。
リテラシーは、次の時代の入場券になる
昔、商売がオフラインしかなかった時代を思い出してください。
ネットでモノを売るなんて、誰も本気にしていませんでした。
でも、時代は変わった。
いつの間にか、Webのスキルは、商売の前提条件になりました。
今、まったく同じことが起きています。
これから、AIを使えることは、ビジネスパーソンの当たり前になっていきます。
上のレベルの人ほど、そうなる。
AIを使える前提で、会話が進むようになる。
そのとき、話についてこられない人は、静かに外されていきます。
意地悪だからじゃありません。
足並みを合わせるのが、単純にめんどくさいからです。
少し想像してみてください。
これから、打ち合わせの席でこんな会話が当たり前になります。
「その分析、AIに一度かけてみましたか」
「たたき台はAIで作って、あとで詰めましょう」
このやりとりに、すっと入っていけるかどうか。
そこで、相手はあなたのレベルを、無言のうちに測っています。
ついてこられない人には、次から声がかからなくなる。
悪気があってのことじゃありません。
一から説明して足並みをそろえるのが、単純に手間だからです。
厳しい言い方をします。
AIリテラシーは、これからの人間関係とビジネスの、入場券になります。
いや、入場券というより、相手があなたと組むかどうかを決める、判断基準に近い。
持っていない人は、そもそも同じテーブルに座らせてもらえない。
そういう時代が、すぐそこまで来ています。
恐れる必要はない。でも、無関心ではいられない
誤解しないでください。
AIを恐れて、怯えろと言いたいわけじゃありません。
恐れすぎる必要は、まったくありません。
AIは、正しく付き合えば、これ以上ない味方になります。
一人で戦う僕たちにとっては、何人分もの働きをしてくれる相棒です。
ただ、無関心でいることだけは、避けてほしい。
無関心のまま放っておくと、仕事を奪われます。
自分のスキルを、静かに置き換えられます。
そして、置き換えられたことにすら、しばらく気づけない。
それが、一番こわいんです。
安心してほしいのは、これは才能の話じゃない、ということです。
僕自身、社会人になる前は、パソコンにまったく触れませんでした。
それが今では、パソコン一台で仕事をしています。
誰かにできることなら、たいていのことは、自分にもできるようになる。
必要なのは、恐れることではなく、まず触れてみることだけです。
生き残る条件は、追い続けることと磨き続けること
僕たちひとり社長やフリーランスには、守ってくれる会社がありません。
だからこそ、自分で情報を追い続けるしかない。
自分でスキルを磨き続けるしかない。
常にAIの最新を追う。
少しずつでも、使えることを増やしていく。
それが、この時代を生き残る条件です。
大げさに構える必要はありません。
今日、AIに何かひとつ、これまで頼まなかった仕事を任せてみる。
いつもは自分で書いているメールでも、いつもは検索していた調べ物でもいい。
それだけで、立っている場所が変わり始めます。
44.3%の側に、のんびり留まっているのか。
それとも、静かに動き出すのか。
その分かれ目は、恐れの大きさじゃありません。
触れるか、触れないか。
たったそれだけです。
僕も、まだ途上にいます。
一緒に、少しずつでも前に進んでいきましょう。
では、今日はこの辺で。
ありがとうございました。
